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東京高等裁判所 昭和45年(行コ)32号 判決 1971年3月11日

新潟県長岡市表町三丁目九〇一番地の一

控訴人

株式会社機圧商店

右代表者代表取締役

青柳幸四郎

右訴訟代理人弁護士

岩淵信一

新潟県長岡市南町三丁目九番一号

被控訴人

長岡税務署長

木村善次

右指定代理人東京法務局訟務部訟務部長

斉藤健

東京法務局訟務部法務事務管

横尾継彦

関東信越国税局直税部大蔵事務管

種村義男

大塚弘

長岡税務署法人税課大蔵事務管

笠原元正

右当事者間の法人税更正処分取消等請求控訴事件について、当裁判所は、昭和四五年一二月八日終結した口頭弁論に基づき次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人が控訴人の昭和四〇年八月一日から昭和四一年六月三〇日までの事業年度の所得金額および法人税に対し、昭和四二年六月三〇日付でなした更正処分のうち所得金額一、〇八〇万八、三〇八円法人税額三〇二万八、四〇〇円を超える部分および重加算税決定処分は、これを取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張ならびに証拠の提出、援用および認否は、次のとおり附加し、補正するほか原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。(但し、原判決三枚目1記録二五丁1裏二行目に「が」とあるのは「を」の誤であるから、そのように訂正する)。

一  控訴代理人は、次のように述べた。

1  控訴会社取締役田辺武雄、田辺正治が退職するにあたり昭和四〇年一一月二七日に行なわれた臨時株主総会において田辺武雄に対して支払決議された退職金八一万円、昭和四一年四月三〇日に行なわれた臨時株主総会において田辺正治に対し支払決議された退職金一九〇万円にはいずれも源泉税が含まれているものである。

2  控訴人は、田辺正治に対し、退職金として、被控訴人の認める一〇四万九、〇〇〇円のほか、さらに八五万一、〇〇〇円を支払い、田辺武雄に対しては、退職金として、八一万円を支払つた。

二  被控訴代理人は、「右一2の控訴人主張事実を否認する。右各金員はいずれも株式売買代金である」と述べた。

三  証拠として、控訴代理人は、当審における控訴会社代表者青柳幸四郎の供述を援用した。

理由

一  当裁判所の事実認定およびこれに対する判断は、次のとおり、改め、削りかつ附加するほか、原判決がその理由として説示するところ(原判決七枚目1記録二九丁1表九行目から原判決一一枚目1記録三三丁1裏一〇行目「棄却すべきなので、」まで)と同一であるから、これを引用する。

1  原判決八枚目1記録三〇丁1表末行「成立に争いない」から同裏二行目「原告代表者本人尋問の結果」までを「成立に争いのない乙第八、九、一四号証、原審証人鈴木茂、同近藤三郎の各供述ならびに原審および当審における控訴会社代表者本人尋問の結果(原審証人近藤三郎、原審および当審における控訴会社代表者本人の各供述中後記信用しない部分を除く)」と改める。

2  原判決九枚目1記録三一丁1裏一行目に「同尋問の結果」とあるのを「同本人尋問の各結果」と改める。

3  原判決一〇枚目1記録三二丁1裏五行目「右のうち」から同裏八行目「疑いがあるばかりでなく、」までを削る。

4  原判決一一枚目1記録三三丁1表一行目「ものではない。」とあるあとに、行を改めて次のとおり加える。

「なお、控訴人は、田辺武雄および田辺正治に対し支払決議された退職金にはいずれも源泉税が含まれており、田辺武雄については二万六、四〇〇円を、田辺正治に対しては一四万〇、五〇〇円を源泉税として控除したものであると主張し、前掲乙第一三号証によれば、田辺正治から昭和四一年分源泉税として一四万〇、五〇〇円が徴収されたことが認められる。しかし前掲乙第八、九号証によれば、田辺武雄が右二万六、四〇〇円の控除を、一応抗議しただけで、控訴会社に対し認めたのは、源泉税額が少額であつたからであり、田辺正治が一四万〇、五〇〇円に上る控除を認めたのは、損害を受けないよう当初の予定額にあらかじめ加算された退職金が支給されたからであることが規われるから、前認定のように、田辺正治、田辺武雄が持株を額面金額の倍額で、正治は青柳幸四郎に、売り渡すこととして、退職することとし、武雄は青柳幸四郎に、売り渡して退職することとした経緯を考えあわせると、田辺正治が昭和四一年源泉税一四万五、〇〇〇円を控除されたことも、田辺武雄に対する支給額が譲渡株券代金額を二万六、四〇〇円下廻ることも前記認定を妨げるものではない。」

5  原判決一一枚目1記録三三丁1表一三行目に「金額によつた」とあるのを「金額を基準にした」と改める。

6  原判決一一枚目1記録三三丁1裏一〇行目に「棄却すべきなので、」とあるのを「棄却すべきである。」と改める。

二  よつて、控訴人の本件請求を全部棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、民訴法三八四条一項に従い、これを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法八九条九五条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 西川美数 裁判官 園部秀信 裁判官 森綱郎)

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